奈良県の地野菜・伝統野菜 1

2023.02.26

大和丸なす

大和郡山市三橋地区や奈良市などで古くから栽培されてきた在来種で、ツヤのある紫黒の丸形のなすで、ヘタに太いトゲがあるのが特徴です。肉質はきめ細かくやわらかで、煮くずれしにくく、焼いても炊いてもしっかりとした食感があります。京都の「賀茂なす」と取り違えないように、ヘタの上の切り口が斜めにカットされているのも注目です。

黒滝白きゅうり

吉野郡黒滝村で江戸時代から受け継がれる真っ白なきゅうりです。一般的なきゅうりと比較すると皮が薄く、青臭さがなく水分を多く含みジューシーです。黒滝村でなければこのきゅうりは生育しないといわれています。「ひね漬け」(ぬか漬けを長時間漬け込んだもの)にして、茶粥と一緒に食べられてきました。

大和三尺きゅうり

明治後期に県内で育成されたきゅうりで、長さは40センチにもなります。でも、名前は“三尺(90センチ)きゅうり”です。それは、40センチ前後で収穫しますが、そのままにしておくと文字通り三尺(90センチ)にもなるからです。歯切れのよい食感が好まれ、奈良漬けにして食べられます。水分が少なくかためなので、炒め物にして食べてもおいしいです。

ひもとうがらし

太さが5mm程度の細身で、ひものように細長い形が特徴の奈良県オリジナルのとうがらしです。肉厚で皮は柔らかく、辛みが少なく甘みがあります。天ぷら、炒めもの、煮浸し、焼きとうがらしなどで食べます。

紫とうがらし

「紫とうがらし」は“とうがらし”という名前は付いていますが、辛みはほとんどないのが特徴です。なすのような濃い紫色の果皮です。完熟すると一般的なとうがらしのように朱色になり、ほんのりと甘みを感じることが出来ます。サラダなどにして生で食べることも出来、天ぷら、炒め物、串焼き、揚げびたし、佃煮などさまざまな方法で食べられます。

花みょうが

「花みょうが」は五條市などの山間部で古くから栽培されてきました。さわやかな独特の風味とシャキシャキした食感が特徴です。蕎麦やそうめん、冷や奴などに薬味として、また、ぬか漬け、酢漬けなどの漬け物のほか、五條市に住む方々はみょうがの卵とじや、みょうがの炊き込みご飯にしても食べます。

小しょうが

しょうが (生姜)は大きく、大しょうが、中しょうが、小しょうがに分けられます。この「小しょうが」は大中小の小しょうがではなく、奈良県在来のしょうが (生姜)の品種「小しょうが」です。小ぶりですが辛味が強く、筋が少ないのが特徴です。

結崎ネブカ (ゆうざきねぶか)

主産地である川西町結崎は、観世能が発祥した地で、江戸時代からねぎの名産地で知られていました。室町時代に翁の能面といっしょに天から降ってきたねぎを植えたという伝説があります。葉が柔らかいため折れやすく、折れた部分から傷むため戦後、姿を消しましたが、2002年度から始まった町おこし事業で徐々に復活したねぎです。柔らかくて甘みがあり、加熱するとトロっとしてとても美味しいねぎです。

大和まな

大和伝統野菜を代表する野菜のひとつで、漬け菜の一種です。中国から渡来した漬け菜を奈良独自の方法で栽培し続け、冬場の貴重な青菜として食べられてきました。もともとは、油とり用に栽培されていたものが、漬け菜として利用されるようになりました。大根の葉に似た切れ込みがあり、柔らかく甘みがあります。12月以降、霜に当たると、他の漬け菜にはない柔らかさと甘みが増します。煮物やお浸しに向いています。

千筋みずな (せんすじみずな)

「千筋みずな」は、奈良県在来の水菜の品種です。たくさんの葉が密生するので「千筋菜」とも呼ばれます。古くから奈良盆地では、葉が細く葉先の切れ込みが深い系統の水菜が、水田の裏作として栽培されてきました。葉が細くシャキシャキとした歯ごたえが特徴です。以前は大株のものが中心でハリハリ鍋の具材として利用されていましたが、近年はサラダ用として小株のものが中心になっています。奈良市大安寺八条を生産地とする「八条水菜」(はっちょうみずな)も細く白い茎と柔らかい食感で市場評価の高い水菜です。

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