ホタルイカ (蛍烏賊)

2024.02.27

旬:3月~5月
主産地:兵庫県、富山県

ホタルイカ (蛍烏賊)を選ぶ

ホタルイカ漁獲量1位は、富山県ではありません。

ホタルイカというと富山湾のイメージが強いですが実は、漁獲量は兵庫県の浜坂漁港が日本一なのです。またホタルイカは新潟から鳥取までの日本海一帯や、駿河湾、相模湾の太平洋側でも少しだけですが獲れます。3月から4月に獲れる富山湾産のものは、大きく身入りも良く美味しいので高値で取引されています。兵庫県産のホタルイカは小粒でタンパクですがプリプリとした食感が特徴です。

ホタルイカの名前はホタルのように美しい発光することから

ホタルイカは明治38年、東京大学教授の渡瀬庄三郎博士により名付けられました。腕や腹部に発光器を沢山もち、ホタルのように美しい発光をするイカであることから「ホタルイカ」となりました。ホタルイカは非常に足の早い食材ですので、輸送や流通が発達する前は、松の肥料としても多く使用されていたことから地元では「マツイカ」と呼ばれていました。

ふっくらとした丸いホタルイカを選びましょう

ホタルイカは非常に傷みが早く、鮮度が落ちるとすぐに腐ってきます。その為、流通しているもののほとんどは水揚げされてすぐに釜茹でされてから出荷されます。ホタルイカの場合は刺身と言っても生のままと言うわけではなく、一度茹でたものを酢味噌などにつけて食べます。ふっくらしていて丸いもの、ツヤがあるホタルイカが良いです。姿がくずれていない大きなものを選びましょう。

ホタルイカ (蛍烏賊)のおいしい食べ方

目玉とクチバシを取ると食べやすく、美味しさに差が出ます

ホタルイカは天ぷら、沖漬け、酢味噌、ピザ、パスタなどいろいろな料理で、いろいろな食べ方ができます。すぐに鮮度が落ちるホタルイカはかつてあまり生で食べられることはありませんでしたが、近年の輸送技術の発達により、生きた状態で輸送する手段も確立されました。しかしホタルイカの内臓には、旋尾線虫という寄生虫が寄生していることがあり、生食の場合は厚生労働省が指定した方法で、処理をしなければなりません。この処理が不完全だと腸閉塞、皮膚爬行症、眼球移行症などを発症する恐れがあるようです。

ホタルイカを生でいただく場合の方法は、-30℃で4日間以上、もしくはそれと同等の殺虫能力処理(中心が-35℃で15時間以上または、-40℃で40分以上)が条件です。

基本的に生で安全に食べるには、冷凍処理をした表示のあるものを購入して、内臓を綺麗に取って水で洗って寄生虫の取り残しが無いようにすることを求められます。生食でない場合は、加熱(沸騰水に30秒以上入れる、中心温度60℃以上で加熱)が必要です。

調理する際は、ボイルしたホタルイカの目を取って、軟骨を抜き、くちばしを取っておくと、ホタルイカが食べやすくなりますよ。

ホタルイカの酢味噌和えは、春の定番ホタルイカ料理。野菜のほろ苦さとホタルイカの濃厚な風味が合います

沖漬けはワタの独特の風味とホタルイカの食感がとても美味です。そのまま食べても、またお茶漬けなどにしても美味です

外はプリプリ、中はトロリとして、旨味があふれ出す「茹でホタルイカ」。ポン酢やマヨネーズにも合います

ホタルイカは内臓に危険な寄生虫がいる可能性があるため、生食は極めて危険です。決められた条件下での冷凍処理を施しましょう

ホタルイカが光るのは

ホタルイカ群遊海面

ホタルイカの発光は、真っ暗な海の中で、たくさんのホタルイカの群れが、一面に青白く神秘的な光を出しながらきらめく神秘的な風景です。ホタルイカが数百万匹の大群で海岸近くまで押し寄せるのは富山湾独特の珍しい現象で「ホタルイカ群遊海面」と名付けられ、国の特別天然記念物にも指定されています。ホタルイカは腕や腹部に1000個ほどもの発光器を持ち、光で身を守り、光で身を隠し、光で会話するのです。多くのイカは外敵が現れるとスミを吐き、自分の分身を作り、敵から逃げます。ホタルイカの場合は一瞬強く光ることで、フラッシュのような残像を残して逃げるのです。また、ホタルイカの発光する光の波長には「青」「水色」「緑」の3つがあり、信号機のように、色の違いを使って仲間どおしで意志の伝達をしているのでは、という説もあります。

余談になりますが、現在ホタルイカは「ホタルイカモドキ科ホタルイカ属ホタルイカ」と分類されています。これは1913年、動物学者の石川千代松氏が「ホタルイカによく似たイカ」を発見し、このイカを「ホタルイカモドキ」と命名しました。分類学上ではそのイカが小型の光るイカ類の基準となり、「ホタルイカモドキ科」という和名がついたので、「ホタルイカモドキ科」の中に「ホタルイカ属」があるという状態になりました。ちょっとややこしい話ですが。

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