タコ (蛸)

2024.02.28

旬:6月~8月(関西) 10月~12月(関東)
主産地: 兵庫県、香川県、長崎県

タコ (蛸)を選ぶ

西の明石、東の佐島

日本でのタコの消費量は約16万トン。全世界の漁獲量の約3分の2にも達します。日本人は、世界一タコ好きな国民といえます。日本でのタコの名産地といえば、古くから「西の明石(兵庫)、東の佐島(横須賀)」といわれています。兵庫県の明石海峡で獲れるマダコ、神奈川県横須賀市にある佐島漁港で獲れるマダコです。

明石タコは、明石海峡の速い潮流が太いがっしりとした脚を育み、タコ自身の味に影響を与えるエサが明石海峡に豊富で、歯ごたえと甘さが身上な上、6~7月に獲れる「麦わらタコ」はそれに柔らかさがプラスされます。

一方佐島は、タコの生息に適した磯根に恵まれ、栄養豊富な黒潮がぶつかる場所のため、タコの餌となるアワビやサザエなどの貝類、イセエビなどの甲殻類が多く生息するので、甘みのあるおいしいタコです。旬は5~8月です。

タコの吸盤を確認

足が太いタコを選びましょう。吸盤に弾力があり吸い付くくらいのものが良いです。吸盤に注目すると、オスは吸盤が大きく雑に並んでいますが、メスの吸盤は比較的小さく同じ大きさの吸盤が2列に整然と並んでいます。一般的にオスよりもメスの方が身は柔らかいといわれています。

茹でたタコの場合、足の先までくるりと巻いているタコを選ぶと美味しいといわれています。また、茹でたタコで表面に粘りが出ているものや、皮がはがれているものは鮮度が落ちています。タコの足の先端は「砂ずり」といい、食べられる部位ですが、あまり味がなく加熱すると硬くなって食感も悪い部分です。足の先端に触覚を持っているので何でも触れ、汚れて細菌等の付着が多いので調理するときに足の先を切り捨てましょう。

国内産は少量 大半はアフリカからの輸入

タコは、種類や産地によって旬が異なりますが、マダコの場合、一般的に6月から8月と、10月から12月の2回あると言われています。関東の場合は冬が旬ですが(佐島のタコは夏)、関西地方では、7月の夏至から11日目の半夏生に(はんげしょう)にタコを食べる風習があります。関東は正月に酢ダコを食べます。しかし現在、マダコの国産は1割程度ほどの少量です。主にモーリタニアやモロッコなど、アフリカ地方からの輸入に頼っているのが現実です。かつて明石のタコにも危機がありました。「サンパチの大冷害」と呼ばれる昭和38年に、水温4℃というかつてない低温になった為、殆ど死滅してしまいました。この危機を乗り越えるため、熊本の天草からメスマダコを4千尾あまり購入し、放流したことで現在の明石のタコに繫がっています。

タコ (蛸)のおいしい食べ方

加熱しすぎると硬くなります

タコの旨み成分は加熱することで強くなりますので、茹でているタコを刺身で食べるときも、軽く湯通しした方が旨みは強くなります。生タコの場合、タコを柔らかく煮込むには、塩や片栗粉でぬめりを取ってからよく洗い、大根でまんべんなく叩きましょう。叩くことでタコの筋繊維をを破壊し、ジアスターゼによる筋繊維の分解で筋肉を柔らかくします。足と足の間に切れ目を入れておくと、茹でた時、綺麗に足が開きます。たっぷりのお湯が沸騰したら、足から上下にしながら徐々に鍋に入れていきます。お酢を小さじ2杯位入れると、赤く綺麗に茹で上がります。

タコは、火をじっくり通すと再び柔らかくなる特徴がありますので、煮込み料理もおススメです。買ってきた「茹でダコ」は一度火が強く通してありタンパク質が硬く変性しているため、柔らかくするには、圧力鍋に水と調味料(醤油、酒、みりん、砂糖)を入れ15分程度加熱タコの柔らか煮ができます。

吸盤を見ると、オスかメスか確認できます。オスはメスに比べて身が硬いですが、メスは身が柔らかくふっくらしています。

生きたタコを竹で組んだ枠に掛け、一日で干し上げたものが明石名物の「干しダコ」です。「タコ飯」の食材としても利用されます。

明石の漁港では昼市(昼網のセリ)があるので、魚の棚商店街では、昼過ぎにはイキのよい鮮魚が店頭に並びます。

明石の郷土料理「たこ飯」。生のタコでなく干しダコを使うので旨みが強くなり、干しダコは炙ることで香ばしくなります。

タコ (蛸)の豆知識

全身の疲労感を感じたら、タコを食べて疲労回復

タコといえば「タウリン」ですね。タウリンは肝機能を高める効果があるので、お酒を飲む人に必要な栄養素として広く知られていますが、運動不足やストレスがある人も肝臓が弱っていることが多いので、タウリンが必要になります。タウリンをとることで疲労回復し、疲れにくい体を作ることができ、高血圧や動脈硬化を予防、眼精疲労などいろいろな効果があります。また、レモンをはじめ柑橘類に多く含まれているクエン酸を一緒に摂ることで、タウリンの吸収を助けてくれます。タウリンだけでなく、ビタミンB2もたっぷり含まれています。脂質や糖質の代謝にすぐれたビタミンB2は脂質をエネルギーに変え、タンパク質を一緒に摂ることで燃焼効果の高い、痩せやすい体作りをサポートします。さらにタコに含まれている銅は、鉄分を運ぶ働きがありますので、ホウレンソウを一緒に摂ることで、ホウレンソウの鉄分と一緒に赤血球を作り、貧血予防に繫がります。

明石の魚 (兵庫県)

明石(あかし)は、兵庫県南部の地名です。
『源氏物語』や『日本…

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