カキ (牡蠣)

2024.03.01

旬: 12月~4月
主産地:広島県、宮城県、岡山県

カキ (牡蠣)を選ぶ

殻付きのカキは、殻が深く傷が少ないものを選ぼう

全体に丸い形で殻が深く傷が少ないものを選びましょう。傷が多いものは、収穫後の洗浄作業の過程で、弱っている可能性があります。殻が固く閉じているもの、もしくは触ると殻が閉じるものが良いです。重さが重いもの。大きさに比べ重いものを選ぶと、身がしっかりと詰まっています。両サイドとも膨らんでいるカキは、沢山の栄養分をはじめとした旨味成分を蓄えており、身もしっかりとしている証です。

剥き身のカキは、新鮮なほど美味しいです。まず日付を確認しましょう

ふっくらとしていて、弾力性が高く、ツヤがあって光沢のあるもの。黒い縁のびらびらした薄い膜が盛り上がったように縮んでいるもの。貝柱が半透明で、身から離れていないものがおススメです。剥きたてのカキの身の色はちょっと黄色味かかっており、時間経過とともに白さが増していきます。水がでてしまっているのは、鮮度が落ちています。チェックしましょう。

「生食用」と「加熱用」の違い

「生食用」と「加熱用」は、そもそも鮮度で区別されているわけではありません。カキの育った海域と、それに伴う、細菌の濃度です。カキが原因となる食中毒は、カキの体内にある細菌が繁殖することによって起きます。そのため、保健所が定期的に海域の水質を検査し、「生食用」として販売できるカキの海域を指定しているのです。生で食べるなら「生食用」、加熱するなら「加熱用」です。

カキ (牡蠣)のおいしい食べ方

絶対に真水で洗ってはいけない!

浸透圧の関係で、カキから旨み成分がどんどん流出してしまいますので、真水で洗うのは絶対NGです。もし、カキを真水に入れると水分を吸ってどんどん膨らみ、調理するとすぐに縮んでしまいますよ。ではどうやってカキの汚れを取るのか? 一つの方法は大根おろしで洗うやり方です。カキなど貝類の独特のぬめりは、糖質とタンパク質が結合しているもので、大根に含まれる酵素がタンパク質を分解するため、ぬめりが落ちてきれいに洗うことが出来ます。大根おろしの代わりに片栗粉を使ってもよいです。片栗粉のでんぷんには汚れを吸着する働きがあります。

炭火で焼くことで牡蠣(かき)本来の香りが際立ち、旨味も増します。焼きすぎると身が縮みますのでご注意を。

カキフライが初めて作られた時期・発祥は諸説ありますが、一説には東京銀座の「煉瓦亭」で初めて売り出されたとも言われています。

カキのみぞれポン酢は、さっと茹でてぽん酢で味わう。ポン酢とカキの相性が最高の一品です。

カキの炊き込みご飯。出し汁で先にカキに火を通して後から戻し入れるとカキの身が硬くならず、美味しく仕上がります。

カキ (牡蠣)の豆知識

世界中で食べられているカキ

カキは北海道から九州まで各地に分布し、全国各地に有名なカキがあります。北海道・道東の「仙鳳趾(せんぽうし)」や「厚岸(あっけし)」などは外洋に近いため潮の流れが早く、プランクトンも多い環境で育っているので、カキの味は濃厚でクリーミー。身のなかに水分が少ないため加熱しても小さくなりにくいのも特長です。町中を流れる名水百選に選ばれた兵庫「千種川」から流れる森の栄養分が、豊かな漁場を育んでいる赤穂坂越「さこし忠臣蔵」もおススメです。

日本だけではなく、カキは世界でも人気です。欧米諸国では生で魚介類を食べる習慣がないことで知られていますが、カキは生で食べます。アメリカ、オーストラリアをはじめ、イタリア、フランスなどでは、レモン汁をかけて生で食べたり、焼いたり、ワイン蒸しにしたりと様々です。中国や韓国では、オイスターソースなど、身よりはむしろエキスが活用されています。

カキ(牡蠣)の代表的なご当地料理、広島県:カキの土手鍋

カキの土手鍋ってどんな料理?

土手の様に味噌を盛っている鍋です

カキの土手鍋(どてなべ)とは、鍋の周りに味噌を塗りつけ、カキと豆腐や野菜を入れて、少しずつ味噌をだしに溶かしながら煮て食べる広島県の郷土料理(鍋料理)です。内側に塗った味噌は煮込むうちに徐々に崩れ始めて鍋の中に入っていきますが、自分で崩して好みの味に仕上げる事もできます。鍋の主役はカキですが、カキはあまり火を通し過ぎると固くなってしまうので注意が必要です。締めには雑炊やうどんがオススメです。カキ、味噌、野菜の旨味が凝縮されたスープで食べる雑炊やうどんは最高の一品です。

カキの土手鍋に必要な材料は?(2人分)

牡蠣むき身 200g
白菜 1/8個
木綿豆腐 1/2丁
三つ葉 1/2束
えのき 1/2パック  
しめじ 1/4パック
長ねぎ 1/2本    
椎茸 2枚     
赤味噌 100g
酒 大さじ1 1/2
みりん 大さじ1 1/2
砂糖 大さじ1/2

カキの土手鍋の作り方

①カキは薄い塩水でさっと洗い、水気をきります。白菜は食べやすい大きさに切り、
三つ葉は根元を落として4cmの長さに切る。しめじとしいたけは石づきを取り、しめじは小房に分ける。えのきは石づきから上3cmのところで切ってほぐしておく。豆腐は6等分に。長ねぎは1cm厚さの斜め切り。

②赤味噌、酒、みりん、砂糖を合わせ、鍋に入れて中火にかけ、練り合わせます。 赤味噌、酒、みりん、砂糖を合わせ、鍋に入れて中火にかけ、練り合わせます。赤味噌の調味材が土鍋に塗りやすい硬さになったら、鍋の土手の縁に塗って土手を作ります。

③だし汁を適量入れ、鍋の中にカキ以外の材料を入れる。カキは最後に入れ、煮過ぎないようにする。煮立ってカキがふっくりとしたら出来上がりです。 土手の味噌を溶かし入れ、好みによって味の調整をします。

カキの土手鍋、発祥の由来とは?

カキの土手鍋の発祥には諸説ありますが、土手さんの鍋説が有力

ひとつは味噌を鍋のまわりに土手のように塗ることから、という説。もうひとつは、カキの養殖は、室町時代が発祥とされており、江戸時代の頃には、広島産のカキを大阪まで運搬していたそうです。淀屋橋、戎橋、本町橋の下などでは単に販売するのみならず、カキ船を出してカキ鍋として調理営業していたそうです。この土手下の舟で売るカキ鍋と言うことで「土手下鍋」と言われるようになり、やがて「土手鍋」というようになったと言われています。もうひとつは、広島からのカキの行商人のうちの一人である土手長吉さんがこの鍋料理を考案したとされ、土手の鍋ということで「土手鍋」といわれるようになった説があります。

カキの土手鍋はご当地ではどんな時に食べられる?

広島のカキの土手鍋は冬の風物詩、冬の定番鍋料理です。しかしここ数年カキの消費量は落ちており、若い世代を中心にカキ離れが進んでいると言われています。カキ購入量は1世帯あたり広島市で去年(2017年)は1330g。前年(2016年)に比べマイナス568gとなっています。そこで広島県が始めたのが、「かきの土手鍋を食べようやキャンペーン」です。県観光課の兵頭康弘主任は、「郷土料理でありながら、若い世代の中には口にしたことがないという人もいるので、カキの土手鍋を引き継いでいくために今このキャンペーンに取り組んでいます」とのこと。

カキの土手鍋の栄養価・効能は?

カキの土手鍋は身体が温まるだけでなく、「海のミルク」といわれるほどカキにはたんぱく質、脂質、糖質、ビタミン類、ミネラルなどをバランスよく含まれています。栄養素では、コレステロール値低下の効果が期待できるタウリン、貧血予防になる鉄、その働きを助ける銅が豊富です。なかでも鉄は8個ほどで1日の必要量の半分がとれます。うまみ成分では、エネルギー源にもなるグリコーゲンが豊富です。白菜には冬に不足しがちなビタミンCが多く含まれており、ビタミンCは鉄分、亜鉛の吸収を高めます。

カキ漁の方法は?

流通しているカキのほとんどは養殖カキです。その養殖の方法ですが、現在では「いかだ式垂下養殖方法」が中心でカキの養殖を行っています。まずカキの放卵時期である7月頃に、ホタテの貝殻をロープにつるして海中に沈め、海を浮遊するカキの稚貝を付着させていきます。カキの幼生は傍にあるものにくっつくという習性があるので、これを利用してホタテの貝殻に付着させるのです。その後カキの稚貝を付着させたホタテの貝殻を浅瀬に設けた抑制棚に移し、抑制と通し替えをし、成長したカキを沖合のカキいかだに吊るしていきます。このいかだに吊るされながらカキは餌となる植物プランクトンを吸収し、2~3年間過ごします。そして10月から11月になると収穫が始まります。 

カキの魅力

カキは古来より人類が食用にしてきた歴史のある食材です。日本でも歴史は古く、縄文時代の貝塚からカキの化石が発掘されています。ナポレオンやビスマルクがカキの愛好家であったことは有名ですが、その時代にローマでは、カキの養殖まで行われていたというので驚きです。カキは海の岩から「かきおとす」ことからその名前が付けられました。その名前の通り、たいていは岩や他の貝の殻など硬質の基盤に着生しています。その性質を利用してカキの養殖は行われています。

グリコ

「海のミルク」といわれるカキには豊富な栄養があります。その中でもグリコーゲンに注目した人がいました。グリコ創業者・江崎利一氏です。はじまりは、江崎氏が、浜辺で見たある光景でした。カキの煮汁を捨てる漁師たちの姿を目にして、「カキにはエネルギー代謝に必要なグリコーゲンが多く含まれている」という記事を読んだことを思い出し、このグリコーゲンを子どもたちの健康づくりに生かせないかと考えたのです。そうして江崎氏は、破棄されるカキの煮汁を譲り受け、入念に煮詰めることでグリコーゲンを取り出す研究に取り組みました。そんな時、長男がチフスにかかり、カキの煮汁に砂糖を加えたものを与え続けると、数日後に長男はすっかり回復。このことがきっかけで、育ち盛りの子どもたちがよろこんで食べる、健康づくりのための菓子を作ろうと決意し、「栄養菓子グリコ」の誕生へと結びついたのです。

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