大分県の地野菜・伝統野菜 

2023.02.17

宗麟南瓜

1541年、ポルトガル船が豊後の国(ぶんご・現在の大分)に漂着し、藩主の大友宗麟の許可を得て貿易を始め、その際にかぼちゃを献上したのが日本のかぼちゃの最初といわれ、「宗麟かぼちゃ」の名前の由来となりました。その種が、現在の福岡県豊前(ぶぜん)市三毛門で(みけかど)に伝わり、栽培されたのが「三毛門かぼちゃ」です。大分県では栽培されなくなっていましたが、「三毛門かぼちゃ」を里帰りさせ、宗麟かぼちゃを大分県で復活させようという「かぼちゃの里帰り」実行委員会がつくられ、2007(平成19)年、「宗麟かぼちゃ」として栽培を復活させました。日本かぼちゃなので甘みは少ないですが、煮物など出汁との相性がよいかぼちゃです。

みとり豆

宇佐市で古くから受け継がれてきた、つるなしささげの一種です。「みとり」という名前の語源は、豆のサヤを食べずに実だけをとって食べるから“みとり”といわれています。小豆と比べると色が濃く、かたいので豆が割れないことから「身代われない」という意味もあり、初盆の家庭ではお盆に「みとりおこわ」を近所や親戚に配る風習があります。色は黒紫色と赤紫色の2種あります。

久住高菜

「久住高菜」は九州本土最高峰でもある中岳のある、くじゅう連山の麓、久住高原を中心とした山間高冷地で古くから栽培されてきた葉からし菜です。江戸時代の参勤交代の時に持ち込まれた種を久住地区に植えたのがはじまりといわれています。阿蘇高菜に似ていますが、葉の切れ込みが多くアザミのようにギザギザしていて、大きいのが特徴です。茎はやわらかく、阿蘇高菜と比較してやや辛みが強いです。春先に伸びたやわらかい新芽を手で折り漬け物にすると、美味しい高菜漬けになります。

ちょろぎ

東洋の珍草といわれ、竹田地方で300年前から栽培されているシソ科の多年草です。3センチ前後の地下茎を食用にし、サクサクした食感が持ち味です。中国では縁起のよい植物とされていて、竹田地方でも、祝いの料理やお茶うけに食べられます。塩漬けや梅酢漬けの他、バター炒めや吸い物などにも利用されます。縁起を担いで「長老喜」と表記することもあります。

青長地這キュウリ  

別府市内の旧家、右田政幸氏が門外不出の青首きゅうりを自家採種して栽培を続けてきました。代々篤農家であり、大正時代から受け継がれているきゅうりです。果重1キロ前後にもなる大型のきゅうりです。肉厚で、表皮の緑色と内部の白色のコントラストがはっきりしていることから、料理を引き立てるので重宝されています。

臼杵の大ショウガ  

臼杵の大ショウガ(お多福ショウガ)は、明治40年ごろ、市内門前(もんぜ)に四国から種ショウガとして導入され、栽培されたのがはじまりです。栽培面積の急減により、現在では自家用程度の栽培にまで減少しましたが、地元加工品として国宝臼杵石松が産地にあることから、ショウガ入りの「臼杵せんべい」が好評を博しています。

ヤソゼリ(クレソン)

「ヤソゼリ」とは、九州の山間高冷地一帯の湧き水の沢や清流に生き続けている西洋ゼリ(クレソン)のことです。別名オランダミズガラシとも呼ばれます。江戸時代にオランダ人がもたらしたのが、全国に広がったといわれています。高冷地のものは、やわらかく、風味と独特の辛み、香りがよいものが多いのも特徴です。

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